もしも~父が倒れたら〜脳梗塞は突然やってくる〜

脳梗塞で倒れ2日後に発見された父の闘病と介護の記録

<重要> 要介護度が決定したら、税金の控除が受けられる! ~様々な控除、減額制度

父は、脳梗塞で倒れるまで介護保険を利用していませんでした。

入院先の病院から言われるがままに初めて介護認定の申請をし、調査員との面談を経て、要介護の認定証が届きました。

 

その時、病院からも市役所からも調査員さんからも言われなかったことがあります。

実は要介護度のレベルによっては、障害者と同等の「税」の控除を受けられる制度があるのです!

 

それに気づいたのはいつだったでしょう・・

施設に移ってからだったので、倒れてから7~8ヵ月は経っていたでしょうか。

 

自宅介護をいったん諦め、施設に入所させて少し落ち着いた頃です。

倒れてから比較的すぐに購入したこの本を読み返していました。状況が変わったので、緊急度は高くないけど、今だから使える情報はないだろうか?と思ったのです。

・身近な人が脳卒中で倒れた後の全生活術 ―誰も教えてくれなかった90のポイント―
待島 克史 (著), 落合 卓 (監修)

この本は、脳卒中で倒れた奥様の介護をする当事者が自ら必死で調べた使える情報がまとまっています。発症からリハビリ、自宅介護まで、様々な役に立つ制度やサービス、及びメンタルに関することなど、体験談を交えて紹介されています。病状の程度が似ていればかなり役に立つ本です。

 

再読した時に、これは使えるかも、と思った項目は2つありました。

・障害者と同等の税の控除

・携帯電話の月額使用料の減額制度 

※本にはNHKや博物館、高速料金の割引など、もっとたくさんの減額サービスが紹介されています。
 父が外出できるようになったらまた読み返してみようと思います。

 

 

「障害者控除対象者認定書」とは

さっそく父の居住地のホームページで検索すると、以下のような記述がありました。

 

障害者手帳の交付をうけていない場合でも、65歳以上の方で申請により身体の障害または認知症の状態が一定の基準に該当すると認定された方に確定申告等により税の所得控除を受けられる「障害者控除対象者認定書」を交付しています。

 

www.city.shiroi.chiba.jp

 

つまり、要介護認定を受けた人は、障害者と同等の税の控除が受けられます。要介護度によって区分があるので市役所に申請してね、ということです。

 

申請書はダウンロードできるようになっています。

障害者控除対象者認定申請書 (Wordファイル: 18.9KB)

 

皆さまのお住いの地域にも同様の制度があると思います!

父の入所先と市役所は近いので直接届けました。郵送申請が可能かどうかは問い合わせてみましょう。 

 

結果は郵便で送られてきました。

父の場合は要介護度4で、特別障害者控除と同等の区分に認定されました。

 

・特別障害者控除

控除額(所得税)40万円

控除額(市民税)30万円

・障害者控除

控除額(所得税)27万円

控除額(市民税)26万円

 

基礎控除額のほかに上記の金額が控除されます。

 

父は年金しか収入がないため、申請したことによって得られる税の減額も大きくはないのですが。。申請は書類を1枚書くだけ、確定申告書のときは「特別障害者」の欄にチェックを入れるだけなので手間はありません。ぜひやりましょう。

 

確定申告は代理人が作成・提出しても問題なし

面倒ですが、確定申告はやったほうが良いです。代理人が作成・提出しても何ら問題ありません(税務署に確認しました)。ただ、還付金は本人の口座に振り込まれます。

 

偉そうに言っていますが、私も父の書類を整理していたら前年の還付金振込通知が見つかったことから気づいたようなものです。PCに強い父はカードリーダーまで用意して毎年オンライン申告をしていたようですが、使いこなせない私は税務署に電話をし、代理人申請の問い合わせをし、申告書用紙の送付も頼みました。

締め切り近いと税務署も忙しいでしょうから、早めに問い合わせた方がよいと思います。申告用紙に関しては送料のことは言われず、無料で送ってくれました。市や町で出している広報誌などに無料相談会のお知らせ等が紹介されていることもありますので、 利用するのも手だと思います。

また、税務署に収支のわかる資料をもっていくだけで、その場で申告書が出来上がる端末などもあるようです。慣れていないと、面倒だとか怖いとか思いがちですが、私たちは納税者なのですから邪険に扱われることはありません。肝心なのは、焦らなくて済むように早めに問い合わせをしてみる、ということです。節税のため!と思ってがんばりましょう。

 

携帯電話の月額使用料減額制度

さて、もう一つの携帯電話の月額使用料減額制度ですが、、こちらは民間の会社の制度なので、各社で制度が異なります。

代表的なのが、

NTTドコモハーティ割引

www.nttdocomo.co.jp

au スマイルハート割引

www.au.com

ソフトバンク ハートフレンド割引

www.softbank.jp

 

など、大手だと障害者割引の制度があります。基本的には本人名義のものだけが適用され、家族は対象になりません。

 

なんと父はY’mobailだったので障害者割引はありませんでした・・。しかも、倒れる前の月に新型のiPhoneに変更したばっかり。端末代の分割払いが来年まで続きます。せめて失語症でなければ、コロナで面会禁止であっても、そのスマホでコミュニケーションがとれたはずなのですが。文字が読めない、声がでない、片手がまひ、ではなかなか難しいものがあります。とはいえ取り上げて初期化して売却するというのも忍びなく。ムダ金だなと思いつつ、宙ぶらりんな状態が続いています。

 

介護は何かとお金がかかるもの。上手に節約していきたいものですね。

脳梗塞、片まひ、高次脳機能障害、失語症、要介護度4 闘病の始まり

忘れもしない2020年2月9日。寒い冬の夜、21:00頃だったでしょうか。私は量販店で買い物をしていました。お店の方との話を終え、ふとスマホをみると着信記録が。

残された1本の留守電メッセージ。それは警察署からでした。なぜ?何の用で?

ざわざわする心を抑えて折り返し連絡すると、父が救急病院に搬送されたという知らせでした。


そこから父にとっても私にとっても、初めてで、先の見えない日々が始まりました。
悠々自適の一人暮らしから脳梗塞、片まひ、高次脳機能障害失語症、要介護度4の判定を受け施設入所までと脳梗塞再発、それからこの先は現在進行形になります。

 

大変な1年でしたが、救急車を呼び病院まで付き添ってくださった父のご友人の皆さま、各病院の医師、看護師の皆さま、入所先のスタッフの皆さまには、感謝してもしきれません。改めて御礼申し上げます。

もし、救急車を呼んでもらえていなかったら、私が倒れて数か月経った腐乱死体の第一発見者となっていたかもしれない・・(ああ、恐ろしい・・。)

ある時、お医者さまに、定期的に脳のスキャンをしてもらっていたら脳梗塞は予測できるのでしょうか?と伺ったところ、脳梗塞は予測できないのです、という回答でした。

(もちろん脳ドッグでの精密検査や自覚症状によって大事に至る前に早期発見できる場合もあります。父のような突発的に起こる脳梗塞は予測不能という意味です)

なので、私が一緒に暮らしていたとしても、脳梗塞を止めることはできなかったでしょう。しかし、転倒にはもっと早く気づいてあげられたのではないか、もっと早く病院に運ぶことができたのではないかと一生後悔しただろうし、何よりもその発見の瞬間がトラウマとなって自分を苦しめ続けることになっただろうと思います。

 

金曜の夜に電話で話をした、というお友達がいました。救急車で運ばれたのは日曜なので、その48時間の間に倒れたことになります。オデコに傷、そして身体の下敷きになっていた腕に褥瘡(床ずれ)ができていました。そして左脳がほとんど真っ黒になっていました。即死に至らなかったのが最大の幸運でした。

 

救急担当の先生が父のベッドに視線を向けながら、このまま目が覚めずに点滴での栄養補給で日々を経ていくと、次第に体力が落ち肺炎などが致命傷となる場合もあるんですよね、と、私に告げているのか、独り言を言っているのかわからないような小さな声で呟いたのをよく覚えています。

 

あの時は、最悪のことも想定せざるを得ないほどの症状だったのだと思います。そして、このまま予後が短かったとしても後悔の無いように見送れることができればいいなぁぼんやり考えていました。

 

左脳のダメージなので、右半身麻痺と高次脳機能障害、失語がかなり重い後遺症として残りましたが、約半年で目覚ましい回復ぶりをみせ、車いすでの生活、やわらかい食事なら口から食べられるようになり、マヒした足を補助する装具を作ってもらい、トイレトレーニングなどのリハビリを受けるまでになりました。

 

そんな生活も落ち着いたかと思ったおよそ1年後、脳梗塞を再発。施設の方がすぐに気づいてくださったので、緊急手術を受け、2週間ほどでもとの施設に戻ることができました。一瞬、これで振り出しに戻ったか・・と思いましたが、私自身は昨年の経験があったからこそ落ち着いて対処できる部分もあったし、以前、よくわからなかったことが理解できるようになったりしていました。面会制限などで入院中の生活状況が見えずらくなっているせいで、未だに何がベストな選択なのか見いだせない部分もあり、自宅介護の方とはまた違うやりにくさを感じています。

 

介護保険とは無縁の生活から、いきなり要介護度4となり、独居老人(家族(私)は別世帯)であるため、病院の先生からも相談員さんからも自宅介護についての話はありませんでした。要介護度4がどんなものなのかまったく理解できていない私だけが、実家のバリアフリーリフォームについて調べたり、補助金の申請条件を確認しに行ったりしていました。結局、空振りに終わったわけですが、この件も別途書きたいと思います。

 

あまりにも未知の世界過ぎて右往左往もいいところ、まったくルールのわからないゲームの世界に放り込まれたような心持ちの1年間でした。父に関わっている時間と、自宅や職場にいる時間、時空の違うパラレルワールドを行き来しているような感覚。でも普段と変わらない職場が、自分自身を取り戻す場所になってくれていたと思います。急な欠勤などでご迷惑をかけても、家族第一でと言ってくれる職場に感謝です。

 

2020年度の特殊すぎる状況ではありますが、病院や高齢者施設への全面的な面会制限がしかれるようになり、友人たちのお見舞いは急激に絶えていきました。一時はOKがでた外出許可も取り消しとなりました。せめてSNSなどでやり取りができるのだったら良かったのですが、失語症のせいで得意だったパソコンも扱えなくなり(操作は可能だが文字の読み書きが難しい)、父は寂しいだろうしストレスも溜まっていることと思います。その反面、緊急事態宣言のお陰で私の仕事が減ったこともあり、私の体力・気力の面では大変助かった部分もあります。両方を秤にかけることはできませんが、介護者の健康保持は最重要課題でもあります。

 

つらつらと書き出すだけでも、いろんな事がありました。

1年前の私が知りたかったこと、1年前の私に伝えたいことを備忘録的に綴っていこうと思います。


介護に至る道は千差万別、ネットでいくら情報を探しても、では父の場合は何が最適解なのか?となると、やはりネットだけでは答えがでないことが多かったです。

常に最新情報をあたること、知識を仕入れたうえで、主治医の先生や、現場に詳しい相談員の方に相談するのが一番です。

その上で、この体験記がこれから介護を担う方のお役に立ちましたら嬉しく思います。